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「バリアフリー演劇 ヘレン・ケラー ~ひびき合うものたち」の公演を終えて

7月旧暦では「文月(ふみづき、ふづき)」。書道の上達を祈って、短冊に歌や願い事などを書く七夕の行事にちなんだ呼び方だといわれています。
童謡・唱歌の『たなばたさま』に「五色の短冊 私が書いた」という歌詞がありますが、この五色というのは、中国の陰陽五行説や人の守るべき五徳に由来する色で、緑・赤・黄・白・黒をいい、今は黒ではなく「紫」が用いられているようです。
笹竹に短冊をつるして願い事をするようになったのは江戸時代からで、手習いごとをする人や、寺子屋で学ぶ子が、星に上達を願うようになったようです。
ということから、短冊には物質・経済的な願いごとではなく、上達や夢を綴ったほうがよいようです。

2019七夕

 当会館は、この地域における共生社会実現に向け、障がいのある方もない方も一緒に作品を鑑賞し、楽しんで頂けるよう過去より取り組んできており、鑑賞サポートのあり方や提供方法を試行錯誤し検討してきました。
そんな中、以前よりご縁のあった「東京演劇集団 風」と「バリアフリー演劇」に取り組むこととなりました。

「バリアフリー演劇」とは、目が見えない人たちや耳が聞こえない人たちと一緒にみんなで楽しめるように、セリフの字幕表示や音声ガイドを追加したり、更にシナリオや演出にも工夫を加えていこうとする新しい試みのことです。

さる5月26日 知立市手話言語条例公布特別企画として、知立市社会福祉協議会と共催し、知立障がいフォーラム「リングC」との連携により、「東京演劇集団 風」による『ヘレン・ケラー ~ひびき合うものたち』の公演を終えました。

今回の鑑賞サポートは、劇団と協同して取り組んだもので、4月の「すたっふNOTE」でお知らせしましたが、改めて次のとおりです。
聴覚にハンディをお持ちの方のために、上演中「舞台上での日本語字幕」と「手話通訳」視覚にハンディをお持ちの方のために、「音声ガイド」と「開演前と公演終了後に、実際の舞台装置や小道具、舞台衣装など触れて確認するバックステージツアー」という形で、それぞれ鑑賞サポートを実施いたしました。

鑑賞していただいた方々は、この地域に止まらず、遠くは関東、九州からもお越しいただきました。また、ハンディのある方も多く、白杖を利用している方、車イスの方、介助者の肩に手を掛けている方、補助犬同伴の方などさまざまでした。
鑑賞した方々からお褒めの言葉を頂き、大変好評を得たと感じておりますし、劇団さんからも「いいお客さんでよかった」という言葉をいただきました。

しかし、この公演の鑑賞サポートの充実度に引き換え、私ども劇場スタッフの「思いやりの心」の足りなさを実感させられた公演でもありました。
そんな場面の一つの例を紹介しますと、
エントランスロビーで開場したことを言葉でお知らせしていたところ、あるお客様(介助者)から「声だけだは理解できない人もいますよ。今言っていることを文字にして示してください。」とご指摘を頂き、早速対応させていただきました。また、ご指摘はなかったものの、終演後の駅までの送迎タクシーの口頭による案内も同様でした。この指摘をしていただいた方には、私どもに不足している点を気付かせていただきお礼申し上げます。ありがとうございました。

NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク理事長の廣川麻子さんは、「劇場のサポートに対する理解が、障がい者の劇場へ行く気持ちを高める」とコメントしていらっしゃいます。(なお、今回の公演作品の制作協力者でもある廣川麻子さんは、公演当日も来館されており、ご挨拶させていただきました。)

劇場は、障がいの有無にかかわらず、同じ機会を提供するために必要な配慮をすべきで、不平等があってはなりません。バリア除去のための対策については可能な範囲で対応しなければならないと考えています。
そのためには、ご指摘を参考にするとかイメージするなどして、当会館のどこに問題がるのかを抽出し、対策を考える必要があります。われわれ健常者と呼ばれる層も、高齢者ともなれば視覚・聴覚に障がいを持つ可能性もあります。それぞれの立場に立った思いやりが必要です、当会館の鑑賞サポートがどこまでできるのか試行錯誤は続きます。
(参考図書:平成29年度全国劇場・音楽堂等アートマネジメント研修会報告書)
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