第11回しみん劇「決定版十一ぴきのネコ」によせて

  • 2011/09/16(金) 12:58:17

【夢】とは ―――
  ・ 睡眠中に無意識の働きによって、過去の経験と未来の願望があいまっておこる現象
  ・ 将来実現させたいと思っている希望・願望
後者のような意味で使われる「夢」は、比較的新しく、明治時代に「Dream」の訳語としたものが、希望・願望といった表現として用いられるようになったようです。


人にはそれぞれ夢があります。
子どもの頃はいろいろなことに夢を描き、夢想の中で次々と思いを膨らませて、想像の世界を楽しんだものです。
だんだん大人になっていくと、社会の成り立ちが少しずつ解かってきて、現実の社会の中で夢を叶えることを追い求めるのですが、いつしかそれも薄らいでしまう場合が多いと感じるのは私だけでしょうか。
今回の公演を機に、改めて「夢、自由、人とのかかわり」について考えてみたいものです。

10月9日(日)にパティオ池鯉鮒がお届けする演劇公演は、日本を代表する劇作家・井上ひさし氏の戯曲「決定版十一ぴきのネコ」を、名古屋の小演劇界で最多動員を誇る劇団を率いる、演劇界注目の劇作家・演出家、鹿目由紀女史(劇団あおきりみかん主宰)の演出でお届けします。
おそらく馬場のぼる氏の原作(絵本)のイメージを超えた、井上戯曲独特の世界が作り上げられていることでしょう!

この公演は、オーディションに受かった21名の市民と、登録アーティストの加藤智美さんのピアノを中心としたミュージカルです。私もオーディションを覗いてみましたが、みなさん個性的で、演劇が大好きな方で歌もお芝居も真剣そのものでした。出演者全員が、それぞれの夢に向かって演じられると期待しています。

「しみん劇」は、演劇を愛する市民参加型の公演です。当協会が主体となって知立の芸術文化を継承・発展させていくことで、この会館がコミュニケーションシアターとして新たな市民文化の創造拠点となることを“夢”に、継続している事業です。
作家、演出家、出演者、舞台関係者そして会館スタッフ、それぞれがそれぞれの夢を託して舞台づくりをしています。

このパティオで創作された一回限りの舞台です。公演に関わった全員の、熱き思いが結集した成果を、どうぞご覧ください!
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「モモ」によせて

  • 2011/09/01(木) 12:53:43

 人の一生は限られており、いつかは幕を降ろすことになる。
   その時間をどのように生き、どのように過ごしていくかが大切だ。
   がむしゃらに働き、時間に追われる生活は人として潤いがない。
   現代はともすると、忙しさの中で生きることの意味を忘れてしまう。
   『忙中閑あり』という言葉は『忙しい中にこそ、閑が必要』と説いており、
   また、『間抜け』は『間を置くことの必要性』を表現している。
   
   私たちは、改めて“時間とはすなわち生活である”ことを再認識したい。


9月17日(土)にパティオ池鯉鮒がお届けする演劇公演は、世界中のみなさんから愛され親しまれている“時間どろぼうから、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語”「モモ」です。
この作品は、ドイツの作家ミヒャエル・エンデによる児童文学作品です。後にドイツ児童文学賞を受賞しており、各国で翻訳されていますが、とりわけ日本では根強い人気を誇っている作家です。

原作を読んだ、私なりのあらすじと感想を書きますが、今回のパティオの演劇公演では、名古屋を中心に活躍している佃典彦氏が脚本・演出されます。「モモ」が、このパティオでどのような劇として表現されるか、とても楽しみです!





【原作のあらすじ】

物語は、ローマを思わせるある街はずれの廃墟化した円形劇場に、預けられていた施設を飛び出し、たった一人で住みついた少女「モモ」のはなしです。

モモは、背は低く、やせっぽちで、八つなのか十二くらいなのか見当もつかない、頭はもじゃもじゃ、つぎはぎだらけの粗末な身なり、いつもはだしでした。しかし、目はまっ黒でとてもきれいな子でした。
モモは、不思議な能力を持っており、ただ黙って人の話を聞いてあげるだけで、人の心を溶かし悩みを解消させ、人は幸福な気持ちになるのでした。だから、子どもも大人も町の人たちは、話を聞いてもらおうと円形劇場にいつも集まってきました。

あるとき、そこへ「時間貯蓄銀行」と称する灰色の男たちの魔の手が忍び寄ってきます。彼らは、人間一人一人が持っている生活の「時間」を倹約させ、世界中の人々から余分な「時間」を盗み、独占していくのでした。灰色の男たちの出現により、町じゅうの人たちは、おしゃべりや、ゆとりのある生活を次第に失っていきます。

なんと、灰色の男たちは、人間の「時間」を葉巻にして吸って生きているのでした。

時間どろぼうの灰色の男たちにとっては、モモが邪魔でした。モモを始末しようと動き出します。
そんなモモを、摩訶不思議な能力を持つカメの「カシオペイア」が、すべての人々の時間管理人である「マイスター・ホラ」のもとに連れて行きます。
マイスター・ホラは、モモに灰色の男たちをやっつけ、人々の時間を取り戻すように諭すのでした。

かくして、モモはマイスター・ホラから贈られた、世界の時間が止まっても、モモだけは動いていられる1本の花をたずさえ、すべての人々の時間が止まっている1時間の間に、30分先までが見とおせるカシオペイアとともに、時間を取り戻す冒険が繰り広げられていきます。・・・・・
 


【原作の感想】

この作品は、時間どろぼうである「灰色の男たち」とモモの対決というスリルあふれるストーリー展開ではありますが、1分1秒と時間に追われる現代社会の人間に対する警鐘なのです。

時間を盗まれた人たちは、現代の私たちの姿そのものとして描かれています。人として、この時間を有意義に過ごすことの大切さをいましめています。

昨今、私たちは、生きている時間の中でモモのように空想をめぐらせ人生を楽しむ生活を忘れがちです。子どもばかりでなく、忙しい大人たちにも夢を見ることが大切ではないでしょうか!!
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